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甲子園出場決定直後の監督交代発表、そして撤回-。一時は自ら退任を表明した常葉菊川高の森下知幸監督と、同校の土屋義人校長が28日、菊川市の同校で記者会見し、一連の事態を謝罪した。土屋校長は「喜びの中にいるはずの選手や保護者、地域の皆様に迷惑を掛け申し訳ない」と述べた。森下監督は体調面の理由などから、住居を構える県東部での生活を希望していたという。御殿場西高野球部の監督への就任が内定し、静岡大会が終了する7月末での退職を、6月中旬には学校側に申し入れていた。 28日朝、監督から突然退任を伝えられた選手には動揺が走った。大きな反響が広がり、状況を重く受け止めた学校側が改めて監督に強く慰留し、事態は急展開。県高野連の木村政彦理事長は「この時期の監督交代は選手への影響が大きすぎる。留任という結論が出て良かった」と述べた。御殿場西高の菊池基校長も「最後まで指揮することは生徒の教育上、非常に大切。甲子園までは続投してもらいたいと思っていた。常葉菊川の健闘を心から祈っている」と話した。 保護者や地元ファンの間には当惑と安堵(あんど)の声が交錯している。ある選手の母親は父母会連絡網を通じて退任の一報を知った。保護者間で「何とか続けることはできないか」とやりとりが交わされたと明かし、「続投すると聞いて息子は喜んでいた。最後は笑い話になってくれれば」とチームが良い方向に進むことを願う。野球部を応援する「常葉菊川バックネット会」の山本省吾会長(63)も「突然の辞任騒動でとても驚いた。選手は動揺していると思うが、気持ちを切り替えて甲子園で活躍してほしい」と話す。 |