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平成30年6月3日静岡新聞:記事全文

見出し 県産碾茶、多様な用途に 製造機械導入、研究に本腰―県茶業研究センター
日付 2018.6.3
新聞名 静岡(朝)
29
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 県茶業研究センター(菊川市)は2018年度、国内外で飲料やアイスクリームなどの加工品用に増大する抹茶需要を背景に、原料の碾茶[てんちゃ]の製造法の本格的な研究に取り組んでいる。茶生産者の所得向上などに向けて、県が17年度から始めた3カ年計画「新成長戦略研究」の一環。ことし3月に県内の製茶機械メーカーの碾茶炉や蒸し機を導入し、4月の一番茶シーズンから運用を始めた。品種ごとの比較試験なども行い、碾茶の被覆栽培の日数や時期、資材の違いによって生じる品質の差を調べている。京都府では、さみどり、あさひ、うじひかりといった碾茶用品種が栽培され、高品質な碾茶は芽が傷まない棚掛け被覆をした上で手摘みし、れんが炉で乾燥させるのが最適とされている。一方、本県の碾茶はやぶきたをはじめとする煎茶用品種がほぼ100%を占め、製造方法も直接被覆で機械による摘採が中心になっている。同センターは、煎茶用品種を使って、直接被覆や機械摘採でより上質な碾茶の製造を目指す。これまでの研究では、つゆひかりの方がやぶきたよりも仕上げた際の色が良く、碾茶向きであることが判明したという。同センターの鈴木康孝研究統括官は「リーフ茶の消費が低迷し、煎茶の供給過多が続いている。より高単価で付加価値の高い碾茶の量産が可能になれば、需給のバランスが取れる」と指摘。「碾茶生産によって、茶農家の所得向上と本県茶業の振興につなげることができれば」と期待を寄せる。