文字のサイズ

小 中 大

記事全文

平成30年8月8日静岡新聞:記事全文

見出し 「ノーサイン」伸び伸び野球 大会最年少高橋監督 甲子園初采配で勝利―常葉大菊川
日付 2018.8.8
新聞名 静岡(朝)
30
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 常葉大菊川高の高橋利和監督(32)が7日、甲子園で初采配初勝利を挙げた。監督としては大会最年少。2004年の選抜にエースとして出場した同校OBで、8年間のコーチを経て2年前、森下知幸前監督(57)=現御殿場西高監督=からチームを引き継いだ。県内最多の甲子園通算13勝の名将から名門を預かり、重圧に苦しんだ青年監督が「ノーサイン」という新たな伸び伸び野球を全国で披露した。犠打なし、フルスイング打線で時代を席巻し、07年選抜優勝、08年全国選手権準優勝を果たした同校。高橋監督も就任1年目は「森下野球を引き継ぐことばかり考えていた」。伝統としていいものは残したい。選手もそれを望んで入学してきている。「応えるにはどうしたらいいのか」。森下前監督のやり方をなぞったが、結果は伴わなかった。学校職員だった森下前監督との違いは教員であること。教師目線で「選手の個性を生かしてみよう」と考え、気負いから開放された。普通科で3年部員が11人いるクラスの担任になり、選手と向き合い、時には本気でけんかもした。ベンチ入りメンバーの選出は、野球の技能以上に、チームのために役割を果たせるかどうかを基準にした。公式戦ではサインを出さない。塁上や打席での判断は選手に委ねる。そのため練習試合では挑戦と失敗を繰り返した。選択肢を示し、やるかやらないかは選手が決める。「見逃し三振より空振り三振。けん制死は駄目だが盗塁死はいい」。前向きな失敗を奨励し、失敗から学ばせた。「今日も一切サインは出してません」。最後まで選手を信頼し、見守った。