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平成30年8月15日静岡新聞:記事全文

見出し OB「全員野球」感じる 07年激闘に思い重ね スタンド観戦―常葉大菊川 因縁相手に勝利
日付 2018.8.15
新聞名 静岡(朝)
28
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 14日行われた全国高校野球選手権大会の2回戦は、常葉大菊川が日南学園(宮崎)を3-0で下した。両チームは2007年大会の3回戦で激闘を繰り広げた因縁の相手。当時グラウンドに立っていたOBは「あの夏で一番印象的な試合」と振り返りながら、この日の試合をスタンド観戦し、現チームにも受け継がれている「全員で流れをつかむ野球」を感じ取った。前回の日南学園戦は終盤まで劣勢だった。八回に2年生だった伊藤慎悟選手が代打3点本塁打を放って追いつき、延長十回に伊藤選手の適時打でサヨナラ勝ちした。伊藤選手は静岡大会でベンチ外だったが、甲子園出場の登録選手に抜てき。当時捕手で現チーム副部長の石岡諒哉さん(29)は「正直驚いたし、代わりに外れた3年の選手は泣いていた。それでも腐らずチームを支える姿に全員が奮起した」と振り返る。 「あの時のようにラッキーボーイが現れると、一気にムードが変わるのが甲子園。控えやベンチ外も含めた全員で戦う大切さを強く感じた」と石岡さん。今回の対戦でも静岡大会でベンチ外だった岡田竜汰選手が代打で貴重な追加点を挙げた。日替わりでヒーローが現れる劇的な戦いぶりは、今もチームの強みとして定着している。 07年に2年でレギュラーだった前田隆一さん(27)は、伊藤選手の当時の活躍に「練習から結果を出していたから自分たち同級生に驚きはなかった。誰が出ても“いけるぞ”という雰囲気にできるのがこのチームの伝統」と語る。同世代の仲間たちと現チームを観戦し、「今日は守備が良かった。打てない時もみんなで守って流れをつかむ、自分たちも目指した野球をしてくれている」と後輩の勝利をたたえた。