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平成30年12月28日静岡新聞:記事全文

見出し 常葉美術館(菊川) 静岡に移設 老朽化で、瀬名校舎へ
日付 2018.12.28
新聞名 静岡(朝)
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連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 江戸時代の南画家渡辺崋山や本県ゆかりの洋画家曽宮一念などの作品約560点を所蔵する菊川市の常葉美術館が、静岡市葵区の常葉大瀬名校舎に移設されることが27日までに決まった。現在、基本設計作業中で、2019年8月の再開を目指すという。美術館を運営する常葉大の木宮岳志常務理事は、開館から41年が経過して老朽化が進み、耐震性にも懸念があることが理由とした。同じ敷地内にある常葉大菊川高の校舎改築整備と合わせて行う。瀬名校舎は教育、外国語両学部や法人本部が草薙校舎(同市駿河区)へ移り、造形学部と短期大学部音楽科が残る。新美術館は瀬名校舎2号館の2階部分を改修し、現美術館とほぼ同程度の約550平方メートルを見込む。同市内には県立美術館や市美術館があり、「どんな役割を果たせるか、コンセプトは今後詰める」とした。 現美術館での展示は、23日まで行われた同高校美術デザイン科の卒業制作展が最後となった。収蔵庫は菊川市に残し、引き続き使用する。常葉美術館は1977年、常葉女子短大美術デザイン科と菊川高美術デザイン科の開設5年を記念して開館した。学生、生徒が日常的に本物に触れられる場を造り、美術を通した地域貢献も目的とした。年2回の企画展を中心に運営され、2017年度の入場者は7349人。(文化生活部・野島純子)地元に衝撃「何とか残して」移設が27日明らかになった菊川市の常葉美術館。地域の住民にも文化活動の拠点として長年親しまれてきただけに、地元では衝撃が広がった。市文化協会は14年前から、毎年秋に市美術展を同館で開催してきた。県内全域から公募し、作品レベルの高さが評価されているコンクールで、石井水穂会長(72)は「常葉美術館に飾ってほしいから応募する、という出展者も多い」と話す。市内に美術展示の専用建物はほかにないといい、石井会長は「市民のよりどころの一つ。移設は急な話で、重大な問題だ」とショックをあらわにした。太田順一市長は「歴史ある美術館なので何とかこちらに残してもらいたい」と話し、市民が活動を継続できるよう、法人側に協議を求める意向を示した。