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令和1年10月21日静岡新聞:記事全文

見出し 地元と”共生”酒造り 鈴与グループ有志 菊川 耕作放棄地で米栽培
日付 2019.10.21
新聞名 静岡(朝)
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連載・コーナー 県内ワイド
ジャンル 県内総合
記事全文 鈴与グループ(静岡市清水区)の社員有志が、日本酒造りに挑戦している。菊川市の耕作放棄地を地域貢献の一環で活用。春の田植え、夏場の草取り作業などに汗を流し、酒米を育ててきた。このほど稲を収穫して、県内の酒蔵に醸造を依頼した。新酒は来春に仕上がる見込みで、取引先への手土産などとして使うという。仏教用語「共生(ともいき)」を経営のよりどころとし、共生社会の実現を目指す同グループ。酒米作りで社員間のコミュニケーションを促進するとともに、会社と地域のつながりを深めるのが狙い。日本酒は「ともいき」と命名した。9月下旬、菊川市での収穫作業には社員の家族も含め約50人が参加し、黄金色に実った稲穂を和気あいあいと刈りとった。子どもたちは慣れない道具に悪戦苦闘しながらも、自然との触れ合いを楽しんでいた。酒米作りは昨年度、関東圏の支社所属の社員が茨城県牛久市の耕作放棄地で始め、今春、第1弾を醸造した。社内の意思疎通が円滑になると評判も上々で、本拠地静岡でも今年から取り組みをスタートした。子どもたちの自然体験イベントなどを主催する団体「菊川ジュニアビレッジ」の紹介で、菊川市のNPO法人せんがまち棚田倶楽部から耕作放棄地となった農地の提供を受けた。同倶楽部とともに無農薬の酒米栽培を開始。来年以降も続ける予定という。同倶楽部は25年ほど前から同市の棚田復元に向けて整備活動中で、これまでに3ヘクタールほどの棚田を復元した。堀延弘理事は「せっかく整備した田畑も使わないと荒れてしまう。継続して農地を使ってくれるのはありがたい」と話している。