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令和2年2月25日静岡新聞:記事全文

見出し 京アニ事件犠牲 大村さんの世界 心に残る 高い完成度、才能惜しむ声 菊川・作品展閉幕県内外から来場
日付 2020.2.25
新聞名 静岡(朝)
21
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 昨年7月の京都アニメーション放火殺人事件で犠牲になった大村勇貴さん=菊川市出身、当時(23)=の作品展が24日、4日間の会期を終えて閉幕した。会場となった同市の菊川赤レンガ倉庫には県内外から来場者が絶えず、記帳した人だけで約1500人に上ったという。来場者は大村さんが描いた心温まる空想の世界に浸り、若くして亡くなった才能を惜しんだ。会期中、大村さんの両親は笑顔で来場者を迎え、作品を解説した。母校常葉大造形学部の教員や仲間、倉庫を管理するNPO法人菊川まちいきの会員らもボランティアで案内し、温かい雰囲気に涙する人が多かった。京都アニメーションの会社関係者が鑑賞に訪れたほか、ネットで開催を知ったという県外の来場者も目立った。地元読み聞かせグループの三浦康子さんが連日、絵本「うーちゃんのまつざき」を朗読するたびに幼児が集まり、静かに見入った。三浦さんは「登場人物みんなの思いやりを感じられる作品。細部まで描き込まれた絵で情景がよく説明されていて、子どもを引き込みやすい」と完成度に感心した。大村さんの両親は期間中、倉庫の老朽化を知り、保全に協力しようと手作りの募金箱を設置した。来場者から多額の浄財が寄せられ、同法人の大橋隆夫理事長は「本当にありがたい」と感謝した。大村さんの作品を今後どう活用するかは未定だという。