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令和2年10月21日静岡新聞:記事全文

見出し がんばらまいか 浜松・遠州=ブラジル人児童の日本語習得支援を コロナで工場操業停止、親が派遣切り 学びたくても月謝厳しく・・・菊川の施設 クラウンドファンディング―新型コロナ
日付 2020.10.21
新聞名 静岡(朝)
30
連載・コーナー がんばらまいか 浜松 遠州
ジャンル 社会
記事全文 菊川市半済のブラジル人向け託児・学習支援施設ミライが24日から、親の派遣切りで通えなくなった子どもたちのためにクラウドファンディング(CF)で支援を求める。新型コロナ禍で就学環境が悪化する中、日本語を習得し地域に溶け込もうと努力する子どもたちを後押しできるよう、協力を呼び掛けていく。ミライは同国から親の仕事の都合で来日した子どもたちが、地元の公立小学校に入る前に母国語と基本的な日本語、生活習慣を学べるよう日系2世の黄地潔理事長が開設した。2017年のNPO法人化以降、利用した305人全員が公立校に進んでいて、手厚い指導は本国での評価も高いという。ただ、新型コロナウイルスの影響で3月以降に地元工場の多くが操業を停止し、派遣社員として働いていた外国人が多数失職した。ミライでも月謝が支払えずに休学する児童が続出し、90人ほどいた利用者は一時は半分以下に減った。雇用は回復の兆しが見えてきたものの、感染拡大前の水準には遠く、今も20人以上の児童が学びたくても通えていない。施設自体も資金難で存続が危ぶまれている。CFサイト「レディーフォー」を活用し、寄せられた善意は主に日本語を学びたい子どもたちの月謝に充てられる。黄地理事長は「孤立する子どもを減らし、みんなが笑顔で学校に通える社会にするため、日本語の学びは欠かせない。協力をお願いしたい」と訴える。外国人の就学状況 文部科学省が昨年、在留外国人の増加を背景に初めて実施した「外国人の子どもの就学状況等調査」では、就学していない可能性がある、または状況が確認できない子どもが約2万人いると報告された。日本の公立校への就学には基本的な日本語の習得が必要だが、指導体制は地域によって差がある。ミライによると、日本語が未熟なまま公立校に入っても勉強や生活についていけず、孤立するケースが目立つという。