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平成27年11月5日静岡新聞:記事全文

見出し 茶草場農法の茶関心高く 輸出拡大へ「ノウハウ必要」 掛川、菊川の関係者ミラノ万博でPR
日付 2015.11.5
新聞名 静岡(夕)
3
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 イタリア・ミラノ万博で行われた世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の出展に合わせ、茶草場農法実践地域の掛川市と菊川市の関係者が10月中旬に現地を訪ね、緑茶の魅力を発信した。PRを通じて「緑茶への関心は高かった」(松井三郎掛川市長)との手応えを得る一方、海外輸出の支援や農法の推進体制整備などの課題も浮き彫りになった。「このお茶はどこで売っているのか」。掛川市がミラノで開いたレセプション会場で、緑茶の健康効果に関心を持った多数の来場者が市関係者に尋ねた。■残留農薬の壁 掛川茶の欧州での流通は限定的。松井市長は要因の一つに残留農薬の問題があるとして、来年度策定する次期市茶業振興計画に輸出対策を盛り込む。厳しい農薬基準をクリアできず、興味を引いても消費者の手に届かない現状を打開する考えだ。「商社などとタイアップしてノウハウを構築する必要がある」と強調した。太田順一菊川市長はミラノ駐在の日本貿易振興機構(ジェトロ)担当者と意見を交わした。「ミラノは空前の日本食ブーム。残留農薬の問題が輸出を妨げているのか調べる必要はあるが、生産者の日本茶へのこだわりが現地で伝われば売れる余地はある」と捉えた。■対照的な体制 茶草場農法の実践地域は4市1町にわたるが、ミラノ万博に参加したのは掛川と菊川の2市にとどまった。対照的に、万博へ同時出展した世界農業遺産の他の国内認定地域は、県と地元が一体で推進体制を構築していた。石川や熊本は知事や副知事が現地へトップセールスに入ってきた。現在、茶草場農法の推進協議会事務局は掛川市が務める。茶草場の面積の61%が集中するためだが、松井市長は「不協和音がないわけではない」と市町間の温度差を吐露する。来年度からは協議会事務局が県へ移る。農法の維持継承に向けた課題が山積する中、石山雅久同市環境経済部参与は「情報発信はもちろん、企業や大学への協力要請も県主導の方が進みやすいはず」と見通す。