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平成28年3月6日静岡新聞:記事全文

見出し イチゴの階級 自動判別 業務20%効率化 来シーズン導入目指すー県農林技研が実証実験
日付 2016.3.6
新聞名 静岡(朝)
31
連載・コーナー 農林・水産
ジャンル 特集
記事全文 県農林技術研究所が開発しているイチゴの階級の自動判別装置の実証試験が最終段階に入った。手作業に頼っている業務を効率化し、需要が高まっているパッケージセンターの処理能力向上につなげる。早ければ来シーズンの現場導入を目指す。イチゴはデリケートなため、出荷時に大きさによって選別し、パック詰めする作業を全て手作業で行っている。同研究所によると、農家が自分で出荷する場合、全労働時間の3分の1をパック詰めに費やしている。近年はJAなどがパッケージセンターを設立してパック詰めを受託し、農家が畑の管理作業などに割く時間を増やす取り組みが進んでいる。新装置は和歌山県のメーカーと共同開発した。出荷トレーに並べたイチゴをカメラで撮影して階級と総重量を自動判別し、農家ごと出荷実績を自動集計する。現在は各農家の荷受けが終わるたびに作業を中断しているが、自動集計すればロスがなくなる。同研究所の望月麻衣主任研究員は「判別精度は手作業と遜色ないレベル。2割程度の時間短縮が見込める」と説明する。今シーズンから実証試験を行っているJA遠州夢咲のパッケージセンター(菊川市)では、1日当たり50~60人の農家から持ち込まれる1500枚のトレーをパート従業員30人で処理している。現在は農家の委託要望が多く、受け入れ能力が不足している。同センターとJAは連携し、新装置に出荷トレーを送る装置を含めたライン全体の開発を進める。JA担当者は「イチゴ農家数は減少しているが、販売単価は伸びている。受け入れ能力が増強できればさらに品質が高まり、単価上昇につながる」と期待する。