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平成29年2月22日静岡新聞:記事全文

見出し 選ばれるまちへ~中東演5市予算案(2)=菊川市 移住体験ツアー―無駄省き費用対効果
日付 2017.2.22
新聞名 静岡(朝)
20
連載・コーナー 中東遠
ジャンル 地域 西
記事全文 「菊川は子育てや就農支援に力を入れている。交通アクセスもよいため、ぜひ実際に訪れてみて」。1月下旬、東京・有楽町のふるさと回帰支援センターで開かれた移住セミナー。菊川市職員が市の魅力を来場者に熱弁し、2017年度から本格展開する移住体験ツアー「1日菊川暮らし案内」への参加を呼び掛けた。 事業は1日1組限定で実施する。ゴールデンウイークや年末年始などの連休期間を除きいつでも受け付ける。参加者の興味やニーズを聞き取りながら“オーダーメード”で市内を回るコースを決め、当日は職員がマンツーマンで案内。実際に首都圏などから同市に移ってきた20代から60代までの先輩移住者と交流する機会も設け、不安感の払拭(ふっしょく)も図る。市が17年度当初予算案に計上した事業の経費は、相談役を務めてもらう先輩移住者への謝礼金6万7千円のみ。有料のメールマガジン掲載などのためにかけていた広告費は効果が薄かったとして削減。県移住相談センターと連携を強化し、移住に意欲的な人を確実に紹介してもらう。大型ツアーでは余分に宿泊施設を抑える必要があったが、個人ツアーでは無駄がない。費用対効果を徹底的に見直し、少ない金額で最大の効果を狙った。一方で、新事業には課題もある。受け付けは昨年12月から始めているが、ツアー実現にはこぎ着けていない。担当者は「菊川の認知度がまだまだ低く、移住希望者の選択肢になっていない。情報発信力を強化する必要がある」と分析する。本格始動を前に、移住に興味を持った人が市の情報を手軽に入手できる体制を整えられるか。また、ツアーで市を紹介する先輩移住者自身に子育て支援など暮らしやすさを実感してもらえるかが、事業成功の鍵を握る。