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平成29年8月19日静岡新聞:記事全文

見出し 「戦争、良いことない」学徒動員の体験語る―菊川の堀尾さん
日付 2017.8.19
新聞名 静岡(朝)
20
連載・コーナー 中東遠
ジャンル 地域 西
記事全文 菊川市戦争体験を伝える会は18日、同市堀之内の菊川文庫で講演会を開き、戦時中に学徒動員され機銃掃射に遭遇した堀尾孝さん(87)が当時の経験を語った。約70人が聴講した。堀尾さんは旧制掛川中(現掛川西高)在学中の1944年、菊川駅近くにあった「旭可鍛鉄工場」に動員されて、鉄くずから砲弾や小銃の部品を造る任務の配送部門を担った。終戦間際には何度も空襲に遭い、機銃掃射に巻き込まれかけた。 当時の様子を克明に説明した堀尾さんは、「目の前を米軍機の弾丸が貫いた。あの時死んでいたかもしれないと、今も恐怖が残っている」と振り返った。 掛川中の雰囲気について「制服や制帽が軍人仕様に変わり、校長も生徒に予科練への志願を勧めるなど、軍事色が年々濃くなっていった」と語った。同級生は全員地元か静岡市の工場に動員され、軍隊志願者のうち2人が戦死したという。「みんな怖くつらい思いをした。戦争で良いことは一つもなかった」と実感を込めた。