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平成29年12月19日静岡新聞:記事全文

見出し フジオーゼックス(菊川)新工場 傘中空バルブ生産開始 21年度1900万本に
日付 2017.12.19
新聞名 静岡(朝)
8
連載・コーナー 浜松・遠州
ジャンル 地域 西
記事全文 フジオーゼックスは菊川市の本社に、自動車エンジン主要部品の「傘中空エンジンバルブ」の工場を建設し、18日、生産を開始した。エンジンの燃費向上などに貢献する部品で、日系メーカーに加え、海外メーカーもターゲットに据える。2018年度は700万本の生産を見込み、21年度には世界トップの1900万本への増産を計画している。バルブはエンジン内で、燃料と空気の混合ガスと、燃料室で発生した高温ガスの流れをそれぞれ制御する「弁」の役割を担う。傘中空は軸部分とヘッドの傘部分の全ての内部が空洞で、空洞部に冷却作用のあるナトリウムを封入している。燃焼ガスが800度を超える中、空洞部のない「中実バルブ」と比較してマイナス100度の冷却効果がある上、15%軽量になっているため、エンジンの数%の燃費向上、排ガス削減につながるという。同社が16年に三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)と合弁で設立したエンジンバルブ生産会社「フジホローバルブ」(菊川市)が生産を行う。他社製品は傘部分を削ってふたを溶接しているのに対し、同社は三菱の特許技術を継承して鋳造で空洞部を成形しているため、負荷の高いエンジン燃焼時にもふたが外れる懸念がなく、耐久性にも優れているという。三菱時代から栗東市で行っていた傘中空の生産は18年3月で終了し、新工場に移管する。これまでに日産自動車の「GTR」などに使用され、18年春からはドイツのメルセデス・ベンツへの納入も決まっている。新工場は平屋建ての延べ3478平方メートル。生産能力は年間300万本。18年2月には隣接地に同2375平方メートルの別工場も完成し順次、ラインも増やす。生産体制1900万本を見据えた21年度までの投資額は約50億円。 同社は18日、関係者を招いて生産開始式を行った。深谷研悟社長は「自動車部品は高級品と汎用(はんよう)品、国内と海外という二極化が進む。傘中空を武器に世界に羽ばたきたい」と語った。