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菊川市のNPO法人菊川まちいきは、かつての菊川駅前商店街のにぎわいを振り返る「昭和の菊川街並みスケッチ展」を15日から同市堀之内の菊川赤レンガ倉庫で開く。商店街は平成の土地区画整理事業で姿を変え、郊外の商業施設に押されて苦戦気味だが、「菊川らしい人情味ある街を再びみんなで築きたい」と願いを込めて初めて企画した。市内の旧常葉女子短大で美術を教えていた坂田和之さん(70)=藤枝市=が約30年前に描いたスケッチ画を借り、45点を展示する予定。坂田さんは土地区画整理で消えゆく風景を残そうと、当時学生と商店街の隅々まで巡りスケッチした。レンガ造りの建物群をはじめ飲食店、駄菓子屋、劇場など多彩な店が軒を連ね、人々が行き交う姿が描かれている。菊川駅周辺は明治期から茶業関係者の集まる拠点として栄え、かつて延長500メートル超の商店街が形成されていた。1985年から30年近く続いた土地区画整理の中で転出した店もあり、街の規模は縮小したが、地元で老舗を守る商店主も多い。作品展を考案した同法人の大橋隆夫理事長(71)は「明治から100年かかってつくられた以前の商店街は、何でもそろいみんなが集まる触れ合いの場だった」と懐かしむ。その上で、「風景は変わったが、また長い時間をかけて発展させていければ」と夢を語った。 |