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令和1年12月3日静岡新聞:記事全文

見出し この人=後藤悦良さん「賀茂真淵の長歌鑑賞」を出版した
日付 2019.12.3
新聞名 静岡(朝)
22
連載・コーナー この人
ジャンル 地域 西
記事全文 賀茂真淵記念館(浜松市中区)を指定管理する浜松史蹟調査顕彰会の専門委員で、江戸時代の国学者である真淵やその弟子の和歌を研究している。9月末に真淵の長歌24首の解説を書籍にまとめた。76歳。-長歌とは。 「和歌の一形式で、奈良時代に成立した万葉集の歌人柿本人麻呂が多く詠んだ。5音と7音の句を何度か繰り返し、最後に反歌と呼ばれる短い歌を添えるのが特徴。万葉集以降は詠まれなくなっていたが、真淵が近世に復興した。歌人としての功績だ」-書籍の内容は。「真淵の歌文集『賀茂翁家集』に収録されている長歌を読み解いた。天皇と国の繁栄を詠んだ国学者らしい歌や、亡くなった弟子を悼む挽歌(ばんか)など、長歌を通じて真淵の人となりをうかがい知れる」-真淵はなぜ和歌を。 「真淵は儒教、仏教に影響を受ける以前の日本人の思想を明らかにしようと、万葉集を研究した。万葉集を理解するには自身も和歌をつくる必要があると考えた。弟子にも詠歌を勧めた。菊川市ゆかりの国学者栗田土満もその一人で、多くの歌が残っている」-真淵に興味を持ったきっかけは。「もともと国語科の教員として高校で働いていた。同僚が古典や遠州国学に造詣が深く影響を受けた」◇趣味は短歌。