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令和2年2月27日静岡新聞:記事全文

見出し まちづくりの布石 遠州6市20年度予算案=菊川市 水害対策加速 台風19号の教訓つなぐ
日付 2020.2.27
新聞名 静岡(朝)
18
連載・コーナー 中東遠
ジャンル 地域 西
記事全文 2019年10月の台風19号による影響で多くの民家が浸水した菊川市の黒沢川流域。黒沢川排水機場の管理人鈴木義弘さん(73)は施設で14時間、排水ポンプを回し続けた。「水位がどんどん上がって施設も浸水。どうなってしまうのか不安だった」と振り返る。市内では牛淵川の一部箇所で越水による氾濫が発生したほか、各地で家屋浸水が多発した。特に黒沢川や丹野川、牛淵川が合流する周辺にある岳洋自治会の地域は大雨による内水氾濫で80軒超の民家が浸水したという。 過去もたびたび浸水被害が起きたという同地域。岳洋自主防災会の高野忠敏会長(71)は「自治会だけではどうにもできない。根本的なハード整備が必要」と要望する。市は堤防のかさ上げや川の堆積物の撤去など河川管理者の国に働き掛けを継続しているという。市は今回の台風19号の被害を受け、20年度、これまでの地震や原子力災害への対策と併せて、水害対策を加速させる。当初予算案には、水害の教訓を生かすため、市全域のハザードマップ改訂(500万円)や台風接近時の行動計画表・マイタイムラインの普及啓発などの対策事業を盛り込んだ。国と市が整備を進める水防拠点施設「河川防災ステーション」(同市下内田)の建設本格化に合わせて、建設負担金4200万円も予算計上した。ただ、台風接近時の避難先を巡っては浸水想定区域内の住民から「指定避難所には入りきらない」との不安の声も上がる。市は浸水想定区域外の公会堂や企業に協力を呼び掛けるなど指定避難所の確保に努めていくとしているが、協力を得られるかは不透明だ。広い範囲の住民を巻き込んだ議論がどこまでできるかが、焦点となる。