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悲しみは今もなお深く、癒えることはない-。36人が犠牲となった京都アニメーション放火殺人事件。発生から1年が経過した18日、ファンらは犠牲者の無念に思いをはせ、祈りをささげた。大切な人を失い、苦しみの渦中にいる遺族や関係者。それでも京アニは前を向き、復興に向けて少しずつ動きだそうとしている。京都アニメーション放火殺人事件で犠牲になった菊川市出身の大村勇貴さん=当時(23)=の地元菊川市の田んぼアート会場で、実行委員会のメンバーが黙とうをささげた。今年の田んぼアートは大村さんが大学時代に手掛けた絵本「うーちゃんのまつざき」の中から、幼い主人公が両親と再会する場面を赤や白など10種の古代米で描いた。大村さんの両親が準備段階から協力している。6月以降、既に2500人以上が訪れ、例年を上回るにぎわい。大村さんを幼少期から知る池田正代表は「勇貴君のおかげで大勢の人が来てくれている。ありがとう、忘れない」と作品に語りかけた。親子の絆を描いた作品に大村さんの家族への思いを重ねる来場者も多く、池田代表は「自分も胸が詰まる」と涙を流した。会の仲間によると、大村さんの家族は作品を通じて楽しく前向きな気持ちになってもらえるようにと望み、かかしや見物用のやぐらを彩る布飾り、傍らのヒマワリ畑などを手作りした。 この日は雨のやんだ昼前から見物客が次々と訪れた。大村さんの家族と親交があり、小さな頃によく遊んだという富士市の教員藤田隼平さん(28)は「優しく穏やかで、絵が本当に好きだったのだと伝わってくる」と作品に見入り、大村さんの夢に思いをはせた。公開は8月16日まで。 |