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令和3年1月15日静岡新聞:記事全文

見出し 迫る 菊川市長選 市議選=JR駅北整備構想 投資の時期判断が焦点 17日告示24日投開票
日付 2021.1.15
新聞名 静岡(朝)
20
連載・コーナー 中東遠
ジャンル 地域 西
記事全文 任期満了に伴う菊川市長選と市議選が17日に告示される。4期で引退する太田順一氏(70)の後任を選ぶ市長選には、新人の長谷川寛彦氏(59)が立候補を表明している。市議選は定数17に対して22人が出馬予定だ。選挙戦を前に、市の主要課題を探った。◇商業施設やマンションが立ち並ぶJR菊川駅北側。地元不動産業者によると、過去10年で開発が進み、今も宅地としての需要が大きい。だが、駅に北口はなく、北側の住民も駅を使うには南口に回る。駅周辺は東海道線で分断されている。JR東海静岡支社によると、静岡-浜松駅間で自由通路がないのは菊川駅を含めて3駅のみ。駅の北口開設と南北自由通路の設置は旧菊川町時代からの念願だ。市は2017年度に策定した駅北整備構想で、橋上駅舎化と自由通路設置を最重要プランと位置付けた。太田市長は本年度の市議会12月定例会で「自由通路は、南北市街地の均衡ある発展に寄与する」と計画推進を強く訴えた。懸念は高額が見込まれる事業費だ。市が18年度に試算した額は、周辺駅と同等の整備で31億円程度だった。新型コロナウイルスの感染拡大が財政と市内経済に大きく影を落とす中、大型投資には従来に増して慎重な判断が求められる。「菊川駅整備計画を見直すことを求める市民の会」の石井水穂代表(74)は「コロナ禍で事業の優先順位は変わる。新市長には財源と政策を照らし合わせてほしい」と話す。市は24年度末の橋上駅舎化を目指し、現在、JR東海と概略設計を進めている。駅周辺の住民からは北口の早期開設を望む声が聞かれる。定住人口増への期待も高まる。一方で、洪水が多発し、防災等への関心が高い市南部では、駅整備を疑問視する住民が少なからずいる。この1年で経済環境は一変した。投資の優先順位をどう定め、市民の理解を得るか。新市長がただちに直面する重要課題だ。<メモ>「駅舎整備の事業費」 JR菊川駅に北口を設ける駅舎整備の事業費について、市は近隣駅の事例を基に31億円という仮の概算額を示している。実際の費用は今後の概略設計で明らかになる。市は財源を実質国の7割負担となる合併特例債を中心に基金からの繰り入れなどで賄う方針。一方、本年度は財政調整基金を3億円余り取り崩していて、補正予算反映後の基金の残高は20億円。経済の回復が見通せず、財政の余裕度は縮小する可能性がある。