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令和3年1月16日静岡新聞:記事全文

見出し 迫る 菊川市長選 市議選=外国人支援 教育、情報提供の充実を 17日告示 24日投開票
日付 2021.1.16
新聞名 静岡(朝)
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連載・コーナー 中東遠
ジャンル 地域 西
記事全文 菊川市は5年続けて人口が増加している。大きな要因は、仕事を求めて来日する外国人の転入だ。人口に対する外国人の割合は7・4%と県内の自治体の中で最も高い。教育や生活支援の現場では課題も多く、市の取り組みは道半ばだ。菊川市下平川の「虹の架け橋菊川小笠教室」は来日直後の外国人児童に日本語の初期指導をしている。菊川、掛川、御前崎の3市から委託を受けて事業を行う。子どもたちは3~6カ月の間に言葉や生活様式を学び、地元小中学校に編入する。感染症拡大の影響で入国が減り、現在の児童は定員32人に対して7人。それまでは外国人の増加に伴ってニーズも膨らみ、2019年は定員の倍近い利用希望があった。20年度には待機者対策として3人だった職員を1人増員した。地域社会で共生するために、言葉の習得は欠かせない。子どもの学びを地域で支えられるよう、現場では環境整備を求める声が上がる。教務主任の望月香さん(45)は「継続的な人口増を目指すのであれば、多文化共生を実践する自治体として、外国人住民を支えるためにいま以上の手だてが必要」と訴える。18年にブラジルから来日し、9歳の息子がいる日系3世の大宅雪枝さん(50)は「子どもを日本の学校に入れるためのシステムがわからず苦労した」と振り返る。将来日本の大学に進学させたい、との思いから小学校編入を希望したが、情報が乏しく、虹の架け橋を知るにも数カ月かかったという。市は20年3月に市役所に常設の外国人相談窓口を新設した。特別定額給付金の申請が始まった5月の相談は211件と急増した。非常時に複雑な情報をどう伝達すべきか、課題をうかがわせた。外国人が地域の一員として安心して生活できるよう、支援施策の一層の充実が求められる。<メモ>「菊川市の外国人住民」2020年12月現在で菊川市の外国人住民は3604人。4万8290人の総人口に占める割合は約7・4%で、これは県内の市町で最も高い。外国人住民の母国別では、ブラジルが2千人以上と大半を占め、次にフィリピン、ベトナムと続く。近年は多国籍化していて、幅広い支援が求められる。