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令和3年3月2日静岡新聞:記事全文

見出し コロナ禍の先へ 遠州7市町 21年度予算案(4)=菊川市 保育環境の拡充 子育て世代の定住促進
日付 2021.3.2
新聞名 静岡(朝)
18
連載・コーナー 中東遠
ジャンル 地域 西
記事全文 温かい床暖房と開放感のある高い天井。設備の充実した菊川児童館は多くの親子でにぎわう。イベントが豊富な児童館は子育て世代の交流の場となっている。菊川市は近年、中心部の加茂地区で子育て世帯が増えている。加茂小の児童数は2016年度から68人増え、20年4月に校舎を増築した。「子育てサポーターぽれぽれ」代表の藤原万起子さん(54)は児童館や公園、園庭を開放する保育施設など「市内には子育て世代が集まれる場所が多い」と話す。市の子育て応援アプリ「きくすく」の運用など、市の支援体制も評価した。子育て世代が生活の場を定めるにあたって重視するのは保育施設の充実度だ。市の20年度当初の国定義待機児童は2年連続でゼロ。ただ、特定の園を希望するなどの理由で59人が入園保留となった。定員超過の保育施設が多く、0~2歳児の需要は特に高い。18年に菊川市に移住したヨガ講師の堀桃代さん(41)は週3回、2歳の息子を市外の保育園に一時保育制度を利用して通わせている。菊川市内の保育園は一時保育の専用クラスがなく、利用が難しかったという。堀さんは「一時的な需要も含めると、保育ニーズは潜在的にさらに大きいのでは」と指摘する。市はこれまでに、保育施設の再編や認定こども園化により、20年度の2・3号の定員を17年度から163人増やした。さらに新年度からは、認定こども園西方保育園の新園舎整備を進めるほか、新規就業する保育士に10万円を給付する奨励金制度を開始する。第3子以降の保育料や給食費の一部を無償化する施策も継続し、多子世帯への支援も手厚い。子育て環境の充実は若者の移住定住につながる。財政的な制約の中でニーズにどう応えるか。長谷川寛彦新市長の手腕も注目される。