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令和3年8月18日静岡新聞:記事全文

見出し 東京パラ 静岡から 世界へ 未来へ=ライブ中継視聴/対策施し観覧・・・応援の形 さまざま 公道で聖火リレー 御前崎・菊川
日付 2021.8.18
新聞名 静岡(朝)
30
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、東京パラリンピックでは全国唯一の公道区間の聖火リレーが17日、御前崎市と菊川市で行われた。沿道での観覧の自粛要請に従い、ライブ中継を視聴した人。感染対策を施し、ランナーの近くで拍手を送った人。市民はコロナ禍に揺れる思いを抱きながら聖火を見守った。同日朝から断続的に降っていた雨は、午後6時過ぎのスタート前に上がった。東京五輪に出場した陸上の飯塚翔太選手(30)=御前崎市出身=らが浜岡福祉会館前を出発。地元の星を一目見ようと付近は若干の“密”状態が発生したが、県道では大会関係者を除き観覧者は少なかった。同会館近くに住む主婦の山口てるみさん(44)は当初の予定を変更して観覧を控えてネット上で見守った。「(聖火リレーを)やめるという判断は難しかったと思う。小さな町にとっては大きな話題になった」と実施に理解を示した。御前崎市の自営業竹田雄次郎さん(68)はマスクを着用し、周囲との距離を保って沿道に立った。「自粛要請は知っていたが、誰も応援に来ないのも寂しいと思った。地元でリレーが行われたことに感謝している」と話した。ゴール地点のみなみやま会館(菊川市)には園児や児童、外国籍の子どもたちが作った横断旗が飾られた。企画した同会館の赤堀真理事務長は「楽器演奏や盆踊りなどさまざまな案を考えたが、感染防止のため断念した。制約のある中でも精いっぱいのおもてなしをしたかった」と語った。ランナーは68人が4・1キロの道のりでともしびをつないだ。数年前から腎不全を患う会社員柏原大毅さん(44)=御前崎市=は、一時歩行も困難な状況から体調を整えて本番を迎えた。「いつも走っている道路が異世界のようだった」と振り返り、「応援は最高にうれしかった。この町に住んでいて良かった」と晴れやかな表情を浮かべた。