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令和3年9月15日静岡新聞:記事全文

見出し 菊川 江戸期以来の木像 寺に移設へ コロナ退治を 「閭魔様」復元 牧之原の伝統技法研究社 終息願い込め
日付 2021.9.15
新聞名 静岡(朝)
20
連載・コーナー ワイドしずおか
ジャンル 県内総合
記事全文 寺院の仏具や山車の製作を手掛ける「静波伝統技法研究社」(牧之原市)は14日、菊川市川上の地域住民が古くから信仰してきた閻魔(えんま)像の修復作業を完了した。はやり病の終息を祈願して1682(天和2)年に製作されたという閻魔像。新型コロナウイルスが猛威を振るう現在と当時を重ねながら、同社の職人が丁寧に復元した。閻魔像は高さ110センチの木製の座像。今回の修復は3度目で、1度目は1794年、2度目は1902年に行われた。前回から約120年の歳月を経て塗装がはがれ、木材が腐食するなど損傷が目立っていたため、維持管理を担う川上地区の川西下組の住人らが修復を依頼した。担当した同社の後藤孝之さん(39)は部品ごとに解体して塗料をはがし、損傷部分を木屎漆(こくそうるし)で補修。再び組み立てた後、下地を施して文化財用の絵の具で塗り上げた。作業期間は約半年に及んだ。閻魔像はこれまで地元のお堂に鎮座していた。ただ、老朽化で住民による管理が難しくなったことを理由に、17日から近隣の正林寺(菊川市高橋)が三門に設置して維持管理を担う。後藤さんはコロナ禍を念頭に「最初に作った人の思いを尊重して修復した。地域住民の心のよりどころとなってほしい」と願いを込める。