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平成28年6月6日静岡新聞:記事全文

見出し 災害救助犬いざ出動 捜索現場で活躍―県警と菊川のNPO協定へ
日付 2016.6.6
新聞名 静岡(夕)
3
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 県警は菊川市のNPO法人「災害救助犬静岡」(杉山和平顧問)と近く、連携協定を結ぶ方針を決めた。南海トラフ巨大地震や東海地震が想定される中、熊本地震の被災地などで活躍した災害救助犬を人命救助に積極的に活用する狙い。相互連絡の手順などを定め、県内外で災害が発生し、出動する際の円滑な連携を目指す。2011年の東日本大震災の被災地で災害救助犬が捜索活動に貢献したことを踏まえ、県警は活用方策などを検討していた。今年4月の熊本地震で実際に同法人と合同で捜査活動を展開、行方不明者の発見につながったことから、連携強化のため協定締結を決めた。協定を結ぶことで相互の連絡や、救助犬、ハンドラー(指導手)が現地に入る際の調整をスムーズにする。熊本地震では、同法人が捜索に協力する意向を静岡県警に伝え、所属する7人のハンドラーと災害救助犬9匹が「本震」発生翌日の4月17日に現地に入った。18日に民家が土砂に埋まる被害が発生した南阿蘇村で県警広域緊急援助隊に合流し、連携して捜索活動に当たった。現場は地質が粘土質で水分が少なく、救助犬の鼻が効きにくかったため県警の部隊が土砂や障害物を除去し、災害救助犬が捜索しやすい環境をつくった。災害救助犬が土砂の中に人がいることを知らせ、行方不明になっていた女性の発見につながった。県警災害対策課の担当者は「災害救助犬は要救助者のピンポイントな感知ができる」と指摘する。広域被災が起きた場合に災害救助犬の不足が予想されることや、携帯電話による連絡手段が絶たれた時に活動が困難になることなどの課題もある。杉山顧問は協定について「災害救助犬の重要性が認識されてきていることを示す大きな一歩」とする一方、「災害無線の活用や、ハンドラーと災害救助犬の養成が急務。行政機関などのさらなる協力が必要になる」と話した。