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令和2年5月27日静岡新聞:記事全文

見出し 大村さん知人「真実語って」動機解明を切望 理不尽への嘆き今も 京アニ 容疑者逮捕
日付 2020.5.27
新聞名 静岡(夕)
3
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 アニメ制作会社の京都アニメーション(京都市)のスタジオが放火され、社員が死傷した事件で京都府警が27日、殺人などの疑いで青葉真司容疑者(42)=さいたま市=を逮捕したことを受け、犠牲になった大村勇貴さん=菊川市出身、当時(23)=の知人や県内のアニメファンらは一様に「なぜ事件を起こしたのか。容疑者は真実を語ってほしい」と真相解明を求めた。大村さんは2019年3月に常葉大造形学部を卒業し、4月に京アニに入社した。同学部で同級生だった県中部の女性は「なぜあのようなひどい事件を起こし、大村君が巻き込まれなければならなかったのか。容疑者の言葉を聞きたい」と切望する。大村さんの家族が今年2月に地元菊川市で開いた作品展を訪れ「ご両親が気丈に笑顔を見せ、作品を説明している姿を見て涙が出た。本当はどれだけ悲しい思いをしているか」と理不尽さを改めて感じたという。「ご家族のためにも事件の理由を解明してほしい。大村君は優しくて穏やかで、人の心を温める作品を描ける人だった。本当に悔しい」と語った。大村さんは大学時代に松崎町を訪ね、絵本「うーちゃんのまつざき」を作った。大村さんを案内した町企画観光課長の深沢準弥さん(52)は「事実を知りたいはず」と遺族の心情を推し量る。才能あふれる絵本は現在も町立図書館で展示中だ。「生きた証であり、いろいろな可能性が広がっていることを町の子どもたちに伝えてくれている」と話した。事件はアニメ業界を志望する若者やファンにも衝撃を与えた。静岡デザイン専門学校グラフィックデザイン科3年の横山文夏さん(20)は「日本を代表する制作会社。今まで培ってきた技術が一気に奪われてしまったことにショックと怒りを覚えた」と振り返る。「どうしてこのようなことをしてしまったのか、理解に苦しむ」と捜査の進展を望む。埼玉県から沼津市を訪れたアニメファンの男性会社員(31)は「京アニもまだまだ大変だと思うが、制作会社として回復していってほしい」と思いやった。