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令和3年1月18日静岡新聞:記事全文

見出し 盤石態勢 関心は低調 菊川市長選 新人初の無投票当選 遊説閑散 市民「論戦聞きたかった」
日付 2021.1.18
新聞名 静岡(朝)
29
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 任期満了に伴い17日に告示された菊川市長選は新人の長谷川寛彦氏(59)=自民、国民推薦=が無投票で当選を決めた。市長選での新人の無投票当選は2005年の市制施行以来初で、県内でも珍しい。選択の機会を逸した市民の間からは「盤石の証しだ」という支持の一方、合併から16年近くたっても埋まらない旧小笠町との発展の格差を巡って「コロナ禍を乗り越え、市の将来像をどう描くのか、論戦が聞きたかった」と残念がる声も聞かれた。4期務めた太田順一市長(70)から事実上の後継指名を受けた長谷川氏。出陣式には約200人が集まり、太田市長をはじめ、与野党の国会議員や地元有力者らが顔をそろえて盤石さを見せつけた。支援する市商工会の役員は「対抗馬を出せないほど支援者の力が大きかった。この様子なら円滑な市政運営が期待できるのでは」と胸を張った。告示前、一部市議が独自候補の擁立を目指したほか、企業経営者ら複数の出馬を探る動きがあったが、長谷川氏の組織力の強さから勝利が見込めず実現しなかった。ただ、出陣式の後、遊説を聞きに訪れた聴衆は市役所付近の広場では20人程度。コロナ禍の中とはいえ一般市民の関心の薄さと長谷川氏の知名度の低さをうかがわせた。合併後ずっとかじ取りを担ってきた太田市政への総括を問えず、市内の女性(73)は「菊川駅北開発など積み残した課題を長谷川氏が検証してくれるのか注目したい」と語った。旧小笠町区域の商店主らは「また旧菊川町の市長か」と一様にため息をついた。人口比で旧菊川町の半分に満たず、駅やインターチェンジもない同区域は、かつての中心商店街の衰退が続く。40代の女性店主は「小笠はいつも置いてきぼり。もっと気持ちとお金を傾け、洪水対策にも力を入れてほしい」と均衡ある市政の発展を求めた。