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令和3年4月16日静岡新聞:記事全文

見出し 京アニ元社員 菊川出身 大村さんの絵本出版 家族「夢実現へ努力の大切さ伝えて」
日付 2021.4.16
新聞名 静岡(朝)
30
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 菊川市出身の元京都アニメーション社員大村勇貴さんが常葉大在学中に創作した「うーちゃんのまつざき」を大村さんの家族が絵本にして静岡新聞社から自費出版した。15日から県内主要書店で販売している。作品が生んだ人々のつながりを形として残し、広げようと思いを込めた。主人公の幼児が松崎町で出会った不思議なキャラクターたちと家族を探す物語。大村さんは2019年の京都アニメーション放火殺人事件で23歳の若さで命を落としたが、翌年家族が開いた遺作の展覧会で作品が持つ温かさが注目を集め、書籍化を望む声が多数寄せられていたという。掛川市の高久書店店主高木久直さん(50)は昨秋、大村さんの家族から自費出版の方法を尋ねられ、相談に応じてきた。同町出身で作品に縁を感じていた高木さんは、発売決定を受けて店に自作のポップを掲出。「SNSですぐ十数冊の予約が入った。発売を待っていた人が多い」と反響の大きさを説明した。大村さんの母校、掛川工業高の杉山直康図書主任(54)は図書室に大村さんの紹介コーナーを常設しようと準備中。届いた絵本を手に「代々読み継ぎ、夢を追いかけた大村君の思いをみんなで胸に残したい」と話した。大村さんの家族は菊川市や松崎町の学校などに、メッセージを添えて絵本を届けた。松崎町企画観光課の深沢準弥課長(53)は「町の文化的遺産を描いてもらえてありがたい。ずっと大切に活用したい」と作品への感謝を語った。B5判24ページ。税込み1100円。大村さんの家族が絵本の寄贈先に届けたメッセージは次の通り。この絵本を読み聞かせや絵の資料としてご活用いただき、皆様に愛され語り継がれることで、永遠に皆様の胸の内に息子が生き続けていくことが私たち家族の願いです。そして、夢を実現するために努力することの大切さを伝えていただければと思います。絵本に登場する風景、物が松崎町に存在していますので、描いた景色を見に、ぜひ一度足を運んでいただき、松崎町と菊川市の交流が深まれば幸いです。