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平成27年5月11日静岡新聞:記事全文

見出し 人口減対策鍵は〝ふるさと志向力〟 「菊川で働く」中学生に提案 地元企業が説明会 官民一体で企画
日付 2015.5.11
新聞名 静岡(夕)
3
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 教育の現場から人口減少問題に対応しようと、全国的にも珍しい中学生向けの地元企業説明会が菊川市で始まる。静岡大教職大学院修士2年の高塚和弘さん(33)からの提案を受け、市や経済界など官民一体で企画する。キャリア教育の一環として、「将来は菊川で働きたい」と思わせる“ふるさと志向力”を育むのが狙いだ。第1弾として14日、市立菊川西中で2年生約190人を対象に行う。市役所、農協、自動車部品メーカーなど市内13の企業・団体が体育館にブースを構える。生徒は興味のある企業から業務内容についての説明を聞く。翌日にはグループに分かれ、地元企業の魅力を発表し合う。エンジンバルブの開発で国内有数の技術力を持つ「フジオーゼックス」(同市三沢)は中学生のうちから地元での就職を視野に入れてもらおうと、説明会に参加する。仕事をPRできる機会に、人事担当者は「海外3カ所に拠点がありグローバルに活躍できる企業だと伝えたい」と意欲を見せる。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口で、同市の人口は2010年の4万7千人から40年には3万9千人まで落ち込むと予測されている。特に若者の減少が深刻で、進学や就職で地元を離れたまま戻らないケースが多いとされる。こうした課題を踏まえ、高塚さんは「菊川にも世界的な企業はある。説明会での社会人の生の声を通じて、中学生には地元で働くイメージを養ってほしい」と話す。市では同校を皮切りに、他の学校への広がりも視野に入れる。太田順一市長は「10年後を見据えた魅力ある取り組み。菊川だけでなく県全体でふるさと志向力を高める必要がある」と期待を寄せる。