文字のサイズ

小 中 大

記事全文

平成28年1月12日静岡新聞:記事全文

見出し よみがえった先人の俳句 菊川の住民 江戸末期の額復元 俳人・伊藤嵐牛が選評
日付 2016.1.12
新聞名 静岡(朝)
17
連載・コーナー 浜松・遠州
ジャンル 地域 西
記事全文 菊川市月岡地区の住民有志が、地元の八穂神社に江戸末期に奉納されたとみられる俳句の額を151年ぶりに復元した。額は老朽化が進み判読できずにいたが、額の文字を書き写した資料が見つかり、当時の地元住民らが詠んだ俳句と判明した。復元した住民は「地域にとって文化的価値が高い」と喜ぶ。同神社総代の鈴木邦雄さん(67)によると、額は縦53センチ、横180センチ。木板に墨で書かれ、ほとんど消えていた。ただ、立派な額装で、同神社一帯は後に初代県知事を務める関口隆吉が居を構えた場所でもあることから「額は関口と何か関わりがあるかもしれない」(邦雄さん)と思いをめぐらせた。長老格の鈴木岩蔵さん(84)に相談したところ、額の文字を書き写した資料が偶然、岩蔵さん宅にあり、復元の機運が高まった。俳句は月岡地区の住民13人を含む計約60人が、四季折々の風景や祭事の様子などを詠んだものだった。掛川市出身の俳人伊藤嵐牛が選評し、文久4(1864)年に奉納されたことも判明した。書をたしなむ岩蔵さんが2015年10月、筆で半切にしたためた。額を奉納したのは関口が月岡地区に住み始める以前で、関わりは分からなかったが、岩蔵さんは「江戸末期にこの地で俳句が盛んだったのは興味深い。貴重な財産として後世に残ればうれしい」と話す。