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平成30年10月18日静岡新聞:記事全文

見出し 閉鎖型豚舎を本格研究 宅地周辺の臭気対策―県中小家畜研究センター
日付 2018.10.18
新聞名 静岡(朝)
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連載・コーナー 経済しずおか
ジャンル 経済
記事全文 県は、住宅地周辺の養豚のにおい対策として、全国的にも例が少ない閉鎖型豚舎の研究開発に着手する。気温など本県の飼育状況に合わせた独自のモデル施設にして、養豚農家の経営環境の改善に生かす。豚など畜産技術の研究拠点「県畜産技術研究所中小家畜研究センター」(菊川市)の養豚舎の一部を改修して研究施設にする。閉鎖型にして密閉するとにおいが漏れにくくなる一方で、豚の生育に必要になる効果的な温度管理や脱臭、換気などの仕組みづくりが課題。電気などエネルギー費も踏まえ、採算が合う運営システムの構築に取り組む計画だ。農林水産省がまとめた畜産経営に関する全国の2017年の苦情発生約1500戸のうち、約半数は悪臭関連。特に、県内では養豚の事例が目立つという。県畜産振興課によると、東日本大震災後の内陸部の宅地開発の動きを受けて、養豚施設と住宅地が比較的近接する地域などもあり、臭気などを考慮して生産規模拡大をためらう農家もいる。 県内の養豚農家は108戸(17年2月現在)で飼養頭数は約11万頭に上る。産出額は全国24位の63億円(16年)と、中小家畜研究センターが開発した静岡型銘柄豚や「フジキンカ」をもとに、各地域が生産するブランド豚は市場のニーズも高い。一方、全体の養豚農家数は1990年の10分の1まで減少している。県は19年度以降の閉鎖型豚舎の研究本格化と実用化を見据え、臭気などの対策を通じて安定経営を側面支援する。