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平成30年12月13日静岡新聞:記事全文

見出し 知的障害乗り越え絵画展 町田さん(常葉菊川高 野球部OB)との絆 励みに―菊川の松井さん
日付 2018.12.13
新聞名 静岡(朝)
22
連載・コーナー 中東遠
ジャンル 地域 西
記事全文 知的障害を抱えながら絵画の創作に取り組む菊川市の松井久悦さん(20)の作品展が17日まで、同市中央公民館で開かれている。絵画35点に加え、かつて甲子園を沸かせた常葉菊川高(現常葉大菊川高)野球部OB、町田友潤さん(28)との交流を紹介していて、2人の不思議な絆が注目を集めている。 松井さんの絵は、かつて訪れた場所をカラーペンで描く風景画。細かな描写と当時の心情が表れた独特の色彩が評価され、作品展で入賞を重ねている。町田さんとの出会いは同校が選抜高校野球大会で優勝した2007年。久悦さんの母照子さん(62)が、二塁手として好守を連発した町田さんのファンになり、がい旋報告会の際に頼み込んで一緒に記念写真を撮った。悩んだ時、町田さんのあきらめない姿を心の支えにしてきたという。町田さんは野球引退後、浜松市に障害児向け療育施設を開いた。今年7月、障害のある子どもに応援してもらった思い出が転身の理由、というインタビュー記事を見つけた照子さんが「自分たちを覚えてくれていたのか」と驚き、施設を探して連絡。町田さんはすぐに訪れ、久悦さんの絵を見ながら再会を喜び合った。町田さんは「久悦君の絵は見る人を前向きにしてくれる。自分も頑張る」と語り、照子さんは「本当にうれしい。泣きたいこともあるけれど、前を向いていればすてきな出会いがある」と笑った。