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令和1年10月2日静岡新聞:記事全文

見出し 風紋=菊川市、相次ぐ事務処理ミス 働きやすさにも配慮を
日付 2019.10.2
新聞名 静岡(朝)
18
連載・コーナー 風紋
ジャンル 地域 西
記事全文 不適正な事務処理が相次いだ事態を受け、菊川市は全庁的にミス根絶に取り組む「不適正事務再発防止検討委員会」を発足させた。今年、還付金の未払いや市教委による自己点検・評価報告書が過去2年にわたり未作成だったことが明らかになった。ミス根絶に向けては、組織的な管理体制の強化だけでなく、職員の働きやすさまで踏み込んだ検討に期待したい。問題の未払いがあったのは後期高齢者医療保険料の還付金。約700万円(669人分)の未払いが発覚した。通常は被保険者が死亡したり、所得が変わったりすると、直ちに保険料の更正処理や振込先を確認して減額分の還付金を支払っている。だが、2018年4月から担当に着いた職員が翌年度に支払うものと勘違いし、年度内の支払いを怠っていたという。未作成だった市教委の報告書についても担当した職員は新任だった。職員は業務過多により精神的に不安定な状況にあり当該業務に手が回らず作成を怠ったという。市と市教委はそれぞれ「事務処理の点検が行き届かなかった」「業務マネジメントが不適切でサポートができていなかった」と組織的な管理体制の甘さについても要因として挙げている。検討委員会では月2回程度会合を開いて年内に適正事務のための対応方針策定を目指す。ヒューマンエラーを防ぐ職員研修会の開催、誤りやすい事務の洗い出しや情報共有など全庁的な取り組みも主導していく。相次いだ事務処理ミスや検討委員会の流れとは別に、10月1日から働き方改革として座席を固定せず自由な位置で仕事をする「フリーアドレス」が一部フロアで導入された。職員間の情報共有やコミュニケーションの向上が見込まれるほか、管理職や他部署を交えた資料作成が容易になり、業務の効率化や意思決定プロセスの改善が期待されるという。職員の働きやすさは市民の利益にもつながる。今回、業務過多が原因で起きた事務処理ミスもあった。アナログなチェック体制を強化するなど、さらに業務を課すような再発防止策だけでは解決にはならないだろう。適切な業務配分や人員配置、職場環境改善など働き方改革の視点も欠かせない。