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令和2年9月22日静岡新聞:記事全文

見出し がんばらまいか 浜松・遠州=演劇 ”新形式”の開幕 公演後、映像合成し動画に 劇団静岡県史(菊川) 「両方の良さ見せたい」―新型コロナ 
日付 2020.9.22
新聞名 静岡(朝)
23
連載・コーナー
ジャンル 社会
記事全文 菊川市の劇団静岡県史(松尾交子主宰)は、演劇を撮影した映像に別の映像を合成して動画を作る試みに挑戦している。新型コロナウイルスの影響で集客できず、活動が困難な演劇界。多くの人に知ってもらおうと、従来の形にとらわれない新たな演劇・観劇の提案を目指す。5日、菊川文化会館アエルで、ひと味違った演劇が上演された。映像を後から合成するため、必要最低限の舞台装置で、背景は常に緑色。出演者らはグリーンバックの舞台に登場すると、坂本龍馬を斬ったとされる元幕臣で、後に初倉村(現島田市)村長になる今井信郎の物語を演じた。観客は役者のダンスを交えたコミカルな演技や、刀を使った白熱した場面に引き込まれた。久しぶりに演劇鑑賞したという鈴木雄大さん(32)=浜松市東区=は「どんな映像になるかを想像しながら見た。普段は照明など舞台装置にも目が行くが、役者の表情に注目できた」と話した。コロナ禍での稽古は苦労も多かった。練習は4月から始めたが、最初は携帯電話の通話だけのミーティング。稽古場となる地区センターを使用できない時期が続き、本格的な開始は6月以降にずれ込んだ。距離を保ち、マスク姿で立ち稽古に臨むものの、蒸し暑さが厳しさを増した。公演後、撮影した映像に合わせる音声を録音した。映像は刀の音や字幕を付けるなどして編集する。龍馬役を熱演した宮下遥さん(32)=静岡市葵区=は「映像を編集することで場面ごとのイメージを伝わりやすくしたい。会場に足を運べない多くの人に見てほしい」と期待した。合成動画は11月中旬までに動画投稿サイト「ユーチューブ」の「トモプロチャンネル」で公開予定。主宰の松尾さん(48)は「難しいと思われがちな歴史劇を映像によって分かりやすくできたらいい。演劇と映像、両方の良さを見せたい」と意気込む。劇団静岡県史 県舞台芸術センター(SPAC)の流れをくむ県民参加型劇団。2013年設立。約15人が所属し、菊川市を拠点に活動している。来年2月28日にはアエル大ホールで、歴史劇「静岡茶航海記」を公開予定。