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令和2年11月2日静岡新聞:記事全文

見出し 陸上 県高校駅伝=浜松商 先行逃げ切り 常葉大菊川 逆転連覇
日付 2020.11.2
新聞名 静岡(朝)
9
連載・コーナー
ジャンル スポーツ
記事全文 松商と常葉大菊川が都大路への切符を手にした。男子第71回、女子第33回県高校駅伝競走大会は1日、エコパスタジアムを発着点に行われた。男子(7区間42・195キロ)の浜松商は、1区尾崎健斗が区間賞の走りで好スタートを切った。後続のチームに追い上げられたが、4区平野竜我と5区鈴木陽道がそれぞれ区間3位と好走。最後は7区飯塚厚が区間賞に輝き、2時間11分13秒で4年ぶり17回目の栄冠をつかんだ。浜松日体は3年連続2位。昨年覇者の島田は3位だった。女子(5区間21・0975キロ)の常葉大菊川は2~5区の選手が区間賞を獲得。1区町碧海が3位でたすきをつなぎ、2区以降がトップの東海大翔洋との差を徐々に縮めた。5区菅谷茉生がアンカー勝負を制し、1時間13分39秒で2年連続7回目の頂点に立った。2位は東海大翔洋。浜松工が3位と健闘した。男女の優勝校は12月20日に行われる全国高校駅伝(京都)に出場する。◇…区間賞…◇【男子】▽1区(10キロ)尾崎健斗(浜松商3)29分52秒▽2区(3キロ)皆見瞬助(藤枝明誠2)8分59秒▽3区(8.0975キロ)松浦海瑠(浜松西2)25分26秒▽4区(8.0975キロ)杉本訓也(島田3)25分5秒▽5区(3キロ)大脇皐聖(東海大翔洋3)8分53秒▽6区(5キロ)古川達也(東海大翔洋3)14分58秒▽7区(5キロ)飯塚厚(浜松商3)15分16秒【女子】▽1区(6キロ)依田来巳(東海大翔洋3)20分44秒▽2区(4.0975キロ)久野桜彩(常葉大菊川3)14分3秒▽3区(3キロ)舞谷恵(常葉大菊川3)10分14秒▽4区(3キロ)鈴木笑理(常葉大菊川3)10分28秒▽5区(5キロ)菅谷茉生(常葉大菊川3)17分37秒◇過去10年の優勝校◇【男子】【女子】2010年浜松日体(12)常葉菊川(18)11年浜松日体(7)三島北(40)12年島田(26)常葉菊川(18)13年加藤学園(32)島田(28)14年加藤学園(25)島田(30)15年加藤学園(8)常葉菊川(44)16年浜松商(14)島田(31)17年浜松日体(6)常葉大菊川(19)18年韮山(19)島田(30)19年島田(46)常葉大菊川(25)※丸数字は全国大会順位◇…男子…◇(1)浜松商(尾崎、山崎、牛、平野、鈴木、中川、飯塚)2時間11分13秒(2)浜松日体(古井、柘植、児玉、鈴木、村井、金原、桂)2時間11分58秒(3)島田(小林、松本、伊藤、杉本、山本、林、福世)2時間12分55秒(4)藤枝明誠2時間13分17秒(5)浜松工2時間14分22秒(6)東海大翔洋2時間14分23秒(7)日大三島2時間15分25秒(8)加藤学園2時間15分51秒(9)浜松西2時間15分52秒(10)韮山2時間17分25秒(11)伊豆中央(12)常葉大菊川(13)富士宮北(14)浜松市立(15)御殿場西(16)浜松湖北(17)浜松北(18)清水桜が丘(19)科学技術(20)静岡西(21)浜北西(22)浜名(23)沼津東(24)富士(25)天竜(26)磐田農(27)浜松湖南(28)三島北(29)藤枝東(30)袋井商(31)磐田南(32)湖西(33)静岡東(34)誠恵(35)新居(36)吉原工(37)常葉大橘(38)静岡北(オープン参加=静岡・伊東・稲取、裾野・三島南・伊豆総合、榛原・焼津中央、横須賀・掛川西・掛川工)エース尾崎1区独走エースが4年ぶりの都大路に導いた。浜松商の尾崎は、実力者が集まる1区で唯一の29分台をマーク。2位に1分23秒差をつけ、先行逃げ切りの態勢をつくった。「自分がレースをつくらないといけなかった。プラン通り」。優勝の瞬間は満面の笑みでゴールテープを切った飯塚主将に抱きついた。スタートして4キロすぎから独走状態に入った。「思いのほか速いペースだったが、余裕があった。大崩れしなければ仕事を果たせると思った」。設定記録は30分25秒の予定だったが、後半もスピードを維持できたことが好記録につながった。盤石なレース展開に思えるが、大会前は調整に苦労した。「納得のいく練習が積めず、不安が大きかった」。チームメートから期待を受けていたが、1週間前に右足を捻挫し、弱音を吐いたこともあった。本調子ではなかったが、「結果的には良い走りだった。さすが尾崎」と日向監督。飯塚は「優勝するには1区の尾崎からトップを譲らないことが条件だった。本当に尾崎さまさまです」と感謝した。1、2年時は優勝争いにも絡めなかった悔しさを糧に、チームははい上がってきた。全国大会の目標は8位以内入賞。近年はレベルが高く、昨年の入賞校は2時間1、2分台の記録を残している。指揮官は「静岡代表として恥ずかしくないレースをしたい」と口元を引き締め、尾崎も「目標に少しでも近づいていけるよう、もう一度チームでまとまっていきたい」と決意を新たにした。(青木功太)粘った浜松日体3年連続2位浜松日体は3年連続の2位に終わり、またも頂点にあと一歩届かなかった。ただ、1、2年生のみのメンバー構成で臨み、北條監督は「相手が強かった。一人一人はよく頑張った」とたたえた。序盤で浜松商が大きくリードする中、2区で2位に浮上し懸命に食い下がった。3区児玉が区間2位の走りで先頭との差を1分以内まで縮め、6区の金原は21秒差まで迫る好走を見せた。3年生は2人。中嶋主将はメンバー入りを逃したが、悔しさは心にとどめ、「このチームをどれだけ高められるか」とサポートに徹した。レース前に選手一人一人の腕に手書きでメッセージを記し、鼓舞。アンカーの桂は「笑顔でゴール」と記された通り、両手でガッツポーズをつくって力強くフィニッシュした。「チームをつくってくれた3年生のために結果を出したかった。自分たちの代で来年こそは優勝する」と2年の児玉。涙をこらえて誓った。◇…女子…◇(1)常葉大菊川(町、久野、舞谷、鈴木、菅谷)1時間13分39秒(2)東海大翔洋(依田、千葉、甲斐、平塚、妹尾)1時間14分1秒(3)浜松工(内山、鈴木、森畑、岡田、野中)1時間15分45秒(4)日大三島1時間16分11秒(5)浜松市立1時間16分25秒(6)伊豆中央1時間17分9秒(7)浜松商(8)浜松西(9)韮山(10)藤枝東(11)三島北(12)沼津東(13)知徳(14)富士(15)磐田南(16)磐田農(17)袋井商(18)サレジオ(19)静岡東(20)静岡商(21)浜松北(22)磐田北(オープン参加=御殿場西・加藤学園、富士宮北・静岡・科学技術、浜松開誠館・浜松湖南・浜松湖北、浜名・浜北西、榛原・焼津中央)3年生の総合力光る連覇を果たした常葉大菊川の歓喜のゴールテープを切ったのは、大けがで約1年を棒に振った3年の菅谷。アンカー勝負を制した復活の走りに、たすきをつないだ同級生の4人が「ありがとう」と涙で出迎えた。4区で首位を奪取し、東海大翔洋に5秒差をつけてたすきを受け取った菅谷。すぐに追い付かれたが、「(相手が)必死に来るのは分かっていた」と冷静だった。ぴたりと追走して残り1キロ手前の坂。1度目のスパートでは粘られたが、再度ギアを入れて一気に突き放した。2年夏に右膝半月板に大けがを負った。回復は長引き、チームの練習に戻れたのは今年8月。離脱していた昨年、仲間は全国高校駅伝への出場を果たしたが、自身は出場選手の付き添い。悔しさがリハビリの原動力になった。練習復帰後はまだ残っていた痛みも完全に消え、1年時にアンカーを任された実力を取り戻した。区間賞で2年前にはかなわなかった先頭でのフィニッシュを果たし、「楽しかった」と表情を崩して充実感に浸った。2年連続区間賞のエース町が1区で33秒差の3位発進と苦しいスタートだった。しかし、残りは全て区間賞でまとめた。先頭をとらえたのは県駅伝初出場の4区鈴木。「チームの力になりたい」と快走で勢いをもたらした。「普段通りにやれば勝てると思えるほどの練習を積んできた」と3区の舞谷主将は語る。劣勢も総合力で見事に挽回した。「これぞ駅伝。粘り勝ちできた」と八木本監督。町、久野、舞谷の3人は昨年、2年生ながら全国高校駅伝を経験。鈴木、菅谷の心強い戦力を加え、再び都大路に挑む。(市川淳一朗)東海大翔洋22秒及ばず女子の東海大翔洋は22秒差の2位で初優勝を逃した。1区の依田主将が区間賞の走りでチームに勢いを付けたが、最終盤で常葉大菊川の勝負強さに屈した。大会直前にエース田代がけがで離脱し、急きょ区間エントリーを変更した。依田と3区甲斐を除き、下級生主体のメンバーで編成。経験豊富な常葉大菊川の3年相手に粘りを見せたが、あと一歩及ばなかった。秋岡監督は「やっぱり菊川は強かった。選手は120%の力を出してくれた」と振り返った。ゴール直後、泣き崩れた5区妹尾に依田が真っ先に駆け寄った。「大丈夫。お疲れさま」。悔し涙を流しながら優しく声を掛け、妹尾の肩に手を回した。依田は「全員が力を出し切ってくれたから、自分を責めてほしくなかった。来年こそ都大路に行ってほしい」と後輩に思いを託した。